2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『李毛異同(12)』 ‐袁術の書状

異日、印を奪い路を截つは、乃ち吾が兄袁紹の謀也。今紹は又劉表と相議し、兵を起し江東を襲う。公速やかに兵を興し荊州を取るべし、吾当に与に動き袁紹を挟んで攻めんとし、二讐を報ずべし。(「李本」第七回) 袁術が孫堅に同盟を持ちかけ、荊州を攻めさせよ…

『李毛異同(11)』 ‐劉表の出自

荊州刺史劉表、字は景升、山陽高平の人なり、幼時、漢末の名士七人有ると結交して友と為す。時に江夏八俊と号す。……表は身長八尺余有り、姿貌甚だ偉たり、乃ち漢室の宗親にて劉勝の後なり。(「李本」第六回) 『後漢書』は劉表の祖先として魯王劉餘を挙げてお…

『李毛異同(10)』 ‐董卓が三公諸侯を任じる

李儒卓に名流を擢用するを勸め、因りて蔡邕の才を薦す。(「毛本」第四回) 昨日は蔡邕の辟紹について書きましたが、実は毛宗崗はこのエピソードを挿入するにあたって、その代わりに同じ箇所にあった以下の挿話を削っていました。 黄琬を封じて太尉と為し、楊…

『李毛異同(9)』 ‐蔡邕を辟紹する

李儒卓に名流を擢用するを勸め、以て人望を収む。因りて蔡邕の才を薦す。卓命じ之を徵せど、邕赴かず。卓怒りて、人をして邕に謂わしめて曰く「來らざれば、當に汝の族を滅さんとす。」邕懼れ、只だ命に應じて至たりうるのみ。卓、邕を見て大喜す。(「毛本」…

『李毛異同(8)』 ‐呂布の登場

これは実際に見て比較していただきましょう。 拙い書き下しで申し訳ないですけど・・・。 董卓之を視れば、乃ち荊州刺史丁原なり。卓怒り叱して曰く「我に順うは生、我に逆うは死なり!」遂に佩劍を掣し丁原を斬らんと欲す。 時に李儒は丁原の背後の一人を見…

「李卓吾本」と「毛宗崗本」について

『三国志演義』にはバリエーションがあります。 現代の小説がずーっと同じテキストを出版し続けるのとは違い、この様な古典作品は、非常に長い年月、非常にたくさんの出版者の手に渡り、その都度"よりよい形"に改められ続けてきたからです。これをよく「版本…