『李毛異同』

 『三国志演義』にはバリエーションがあります。
 日本では二種類、通称李卓吾本」「毛宗崗本」が、今なお読まれ続けております。
 これらの記事では、その両者の違いを比較し、またそれが現代の『演義』読者に与えている影響について考えます。

↓もくじ↓

はじめに

 「李本」と「毛本」について。

1.モノローグ (第1回)

  モノローグの有無と崔州平。また『通俗三国志』を関連させて。

2.劉備母を拝す (第1回)

  李本にのみ見える一場面と、李本に影響される『吉川三国志』について。

3.曹操の系譜 (第1回)

  曹操の系譜紹介に見る、毛宗崗の劉備宣揚。

4.銅臭宰相 (第2回)

  毛本が削った彼らのエピソード。

5.劉焉入蜀 (第2回)

  毛本が削ってしまった、劉備入蜀の伏線。

6.袁紹の系譜 (第2回)

  袁紹の系譜に見える僅かな異同と、それを利用したエディション比較の方法。

7.諸侯十八鎮の紹介 (第5回)

  李本までにはあった諸侯十八鎮の紹介文。

8.呂布の登場 (第3回)

  呂布の登場場面に凝らされた毛本の趣向。

9.蔡邕を辟紹する (第4回)

  毛本が新たに挿入したエピソードと、それに合わせた周辺の訂正。

10.董卓が三公諸侯を任じる (第4回)

  上記蔡邕の登用シーンにより削除されてしまった伏線。

11.劉表の出自 (第6回)

  何故か版本によって異なる劉表の祖先。

12.袁術の書状 (第7回)

  地味ながら、毛宗崗がストーリー上の矛盾もチェックしていた話。
  毛宗崗が削ってくれた、皇甫嵩のあまりかっこよくないシーン。

13.郿塢に侍らせる (第8回)

  どっちの郿塢が(゚∀゚)イイ!

14.李儒の病欠 (第9回)

  董卓暗殺のその時、李儒はどこにいたか。

15.「呂」旗を掲げる道士 (第9回)

  毛宗崗がちょっと一工夫した暗号について。

16.李儒の最期 (第9回)

  李本での残酷な最期と、そして『吉川三国志』があえて毛本を参照した例。

17.李肅の死 (第9回)

  李本が呂布の横暴さを描いたエピソードを、毛本は李肅自身の因果応報に変える。

18.种拂の最期 (第9回)

  毛本では見れない种拂の最期について。

19.劉岱は一人だけ (第10回)

  歴史上いた二人の劉岱の同一視は、『三国志演義』の意図的な創作。

20.劉備の自刎未遂 (第11回)

  李本にあった、劉備が命を懸けて徐州譲渡を拒否する挿話。

21.呂布の亡命先 (第13回)

  『吉川三国志』が毛本を参照していた一例。

22.悪女連環の計 (第13回)

  『演義』が批難する女性の嫉妬と、それに従った毛本の改変箇所。

23.李傕、帯剣する内侍に慄く (第13回)

  毛本が必要以上に文章を削ったため、意味が通らなくなってしまった場面。

24.呂布が劉備の家族を保護する (第14回)

  呂布から劉備にすり替えられた義心。

25.孫策と太史慈 (第15回)

  毛本で太史慈の年齢が変更された理由。

26.嚴輿と孫策 (第15回)

  李本にあった、意味もなく嚴輿をからかう孫策

27.泣かずに魏延を焼き殺す(第103回)

  毛本が削った挿話として、最も有名なもののひとつ。諸葛亮魏延謀殺を図った話。

28.赤壁直前、馬騰はどこにいた?(第48回)

  馬超一族を宣揚するための、毛本の細やかな改変。